IT事例に役立つコラム(仮)

2014.03.25

話は担当者に聞くだけではダメ

導入事例の取材を申し込むにあたっては、ほとんどの場合、相手企業のIT部門(の担当者)が交渉の窓口となるはずです。当然、取材で話をうかがう対象も彼らが中心となることでしょう。しかし、取材での質問は多岐にわたります。ソリューションの使い勝手や、経営上の効果についても、IT部門の担当者が的確に回答してくれるとは限らないのです。

誰に話をうかがえばよいのか?

事例の取材先が決まれば、取材の準備と調整です。
取材先に対し、自社のどのソリューションについて、どんな制作物を作成するために(例えば、自社のWebサイトに公開、事例パンフレットとして印刷、商業誌などに広告記事として掲載など)、取材ではどんな話を聞きたいのかを伝えた上で、スケジュールを調整していきます。

その際、なるべく早いタイミングで、先方に「インタビュー項目」を提出して、質問内容に基づいて、インタビューへの出席者を選定してもらいます。出席者の顔ぶれによって聞き出せる話が異なるので、どんな質問をするのか明確に先方に伝えておく必要があるのです。

出席者は何人ぐらいが適当か?

もちろん、導入したソリューションが一部の業務・部門に特化した専門的なものであったり、あるいは会社の規模そのものが小さかったりする場合は、ソリューションの導入について全体像を把握している方にすべてを語っていただくことも可能でしょう。

しかしながら、基幹業務システムや大規模システムなど、取材先の企業のビジネスの根幹を支えるソリューションともなれば、取材に多数の方に出席していただく必要があります。CIO(Chief Information Officer)に出席してもらえば、経営面から技術面まで話してもらえるかもしれませんが、ソリューションの細かな使い勝手などについてはご存知ないこともあります。情報の抜けを防ぎ、正確を期するためにも、部門や立場の異なる複数の方に出席いただくのが望ましいでしょう。

その一方で、あまり出席者が増えてしまうと、取材時間内に全員に十分な話を聞けなくなることもありますし、スケジュール調整も大変になります。理想を言えば、技術面を語っていただけるIT部門の担当者、業務面での効果を語っていただける業務部門の担当者、課題解決に向けての経営方針を語っていただける経営者層の3人程度に出席してもらえばバランスが取れるはずです。

足りない情報をカバーするために

出席者を選定してもらう際に、注意したいことがあります。
現時点の肩書ではなく、ソリューションの導入・運用を実際に担当していたのは誰かという観点で選んでもらうことです。例えば、導入時の責任者が人事異動などで他部門に移っている場合も(極端なときには退職してしまっていることも)あり、「導入した経緯はよく分からない」ということもあるからです。
さらに言えば、取材当日になって、出席予定者が顧客への緊急対応などで欠席という可能性もゼロではありません。

いずれにせよ、先方に話してもらえる内容だけでは、事例作成に必要な情報がそろわないということもありますから、自社側で情報を補完できる出席者を確保しておくことが大切です。ソリューションの売り込みを行った営業担当者や、顧客に対してデモンストレーションなどを行った技術担当が同席すれば、「選定理由については、◯◯さんにコスト削減効果を高く評価していただいたとうかがっておりますが…」というように、先方に話を促したり、やんわりと訂正したりすることもできるからです。