IT事例に役立つコラム(仮)

2011.03.02

導入事例の書き方、作り方

導入事例は、カタログのようにポイントを示すものと違い、「読ませる」ことに主眼を置いています。したがって、ストーリーが重要になってきます。そこで、導入事例の書き方、作り方のポイントを紹介します。

ビジネス文書は「結承転提」、導入事例は「起承転結」

ビジネスでは、結論を重視するため、「起承転結」ではなく、「結承転提」というまとめ方が求められます。

上司が求めるのは結論であり、そこに至った経緯、経過、説明、他の事例や反対意見、そして提案の順でストーリーを作ります。企画書や提案書では、他の事例や反対意見を入れることで説得力を増すことができます。これは、新聞のように端的に文章を表現する方法に提案をミックスさせたものといえるかもしれません。
では、導入事例はどうでしょうか。導入事例は、結論も重要ですが、導入前の課題から選定の経緯、導入効果、将来の展望など、時系列で紹介するものになります。したがって、課題を抱えていた企業がどのように課題を解決していったのか、「起承転結」のストーリーを構成することが大切です。

見出しで読ませる、リードで内容を伝える

導入事例は、原稿用紙5枚から6枚で構成されるサクセスストーリですが、読んでもらうためにはポイントがあります。

例えば、キャッチがささらなければ読んでもらうことはできません。ITの導入事例では「〜のソリューション」のように、キャッチが使われることも少なくありませんが、IT業界以外の方にはシステムのニュアンスが強い「ソリューション」はあまり響きません。このため、導入後の効果をしっかり数値化し、時間やコストがどれだけ減ったのか、業務がどのように改善されたのか、具体性のあるキャッチを付けることが大切です。また、本文についても、小見出しを見ることで全体のストーリーが把握できれば、読んでみたいと思えるはずです。

さらに、背中を押したいのであればリードで内容を簡潔にまとめ、共感や理解を得るとともに、これから始まるストーリーのわくわく感を伝えるよう努めましょう。

効果、使い方を軸にアクセントをつけて

導入事例は、「起承転結」のストーリーとなりますが、多くの情報を詰め込むこととは違います。ポイントは、どのように活用し、どのような効果があったかを軸にすることです。伝えたいことを絞り、お客様の声で語ってもらうことが、導入事例の作り方、書き方の重要なポイントになります。

他社の課題解決を通して見えること

導入事例には、課題解決に至るまでのプロセス、製品やサービスの活用方法、使用感など、カタログでは伝えきれない情報が多く書かれています。他社の解決方法を通して、製品やサービスの効果や使用感を体験してもらう、そのイメージを読み手に伝えられるようまとめることが導入事例のコツといえるでしょう。