IT事例に役立つコラム(仮)

2014.07.07

切り口を変えた質問で情報を引き出す

事例の説得力を高めるには、「◯割の売上向上」、「◯%のコスト削減」というように、具体的な数字を出すとよいでしょう。とはいえ現実には、先方が具体的な数字を持ち合わせていないことも多いです。そんなときには、切り口を変えて話を掘り下げていくと、数字につながる話を聞き出せることが少なくありません。

 

導入事例のポイントはリアリティ

導入事例で訴えるべきポイントのひとつが「導入効果」であることは、「事例取材のタイミングは?」(リンク)で説明したとおりです。その製品を導入したことで、今まで抱えていた課題がいかに解消されたのか、事実に則して説明することで、その製品が果たした役割を読者(潜在ユーザー)にリアルに伝えることができます。

 

具体的な数値を示すことを心掛ける

このリアリティの有無が、導入事例のポイントとなります。リアリティを出すには、「効果」をあいまいに表現しないことが大切です。

例えば、「操作性が大幅に改善しました」「かなりのコスト削減が期待できます」といった表現、すなわち「非常に」「大幅に」「とても」「かなり」といった副詞を用いることは避けて、具体的な数値で示しましょう。「2割近いコスト削減が期待できました」「操作性が改善し、いままでの80%程度の作業時間で完了するようになりました」といった表現を心掛けたいものです。

 

取材時にはうまく事が運ばないことも

効果を数値で示すには、当然ながら取材時にきちんと確認しておく必要があります。とはいえ、取材先も数値を十分に把握できていない場合もあります。

どの程度の売上アップやコスト削減が実現したのか、その数値を求められても返答に窮する場合が少なくありません。特に導入間もない製品の場合ですと、費用対効果についての検証や、ユーザーに対するアンケート調査が未実施ということも多いでしょう。また、「売上」や「コスト」などの数字は出したくないと考える担当者もいるはずです。

先方が数字を持っていない、あるいは出したくないと考えているのであれば、しつこく何度も聞くのは無意味どころか、先方の心象を悪くしてしまうだけです。

 

ディテールにこだわって質問をする

そこで、取材の際には、話の内容をより詳しく掘り下げる方向で聞くように心掛けてください。いわばディテールにこだわって質問を重ねていくのです。それにより、たとえ「売上」や「コスト」に直結する数字は出てこなくても、その周辺の数字を拾えることが多いはずです。

例えば「新機能を提供したことで、5年近く抱えていた問題を解決した」「本来なら1カ月はかかる構築作業を、専用ツールを活用することで1週間に短縮して対応できた」「新システムの運用により、感覚的には作業負荷が2割くらい減ったように思う」というように、表現に数字が入ることでリアリティが高まりますし、読者へのアピールにもつながります。

必ずしも数字を聞き出さなくても、「もう少し具体的な部分を伺えますか?」「作業負荷はどの程度軽減されたと思いますか?」と掘り下げていくことで、数字が出てくることが少なくありません。聞いていくうちに、出席者が「ああ、そういえば」と数字につながるヒントを思い出すこともあるでしょう。

 

切り口や相手を変えて質問する

切り口を変えて、同じ質問をするという手もあります。
「この導入製品に対して、どの程度の投資効果を期待されていますか?」という質問して、「まだ検証できていない」という回答しか得られない場合でも、「では、導入効果として、どんな指標を重視されていますか?」という問いに対しては、どんなKPI(Key Performance Indicator)を立てているのか詳しく説明してもらえる場合もあります。

また、他の出席者がいる場合は、もう一人に「同じ質問なのですが、その点について◯◯さんはどのような印象を持たれましたか?」と聞けば、違う切り口で話してくれることも多いはずです。