IT事例に役立つコラム(仮)

2014.01.27

では、取材を行うべきタイミングは?

自社の製品がお客様に採用されたときは、一刻でも早く導入事例に取り上げ、販促ツールとして活用したいと思うのが人情です。しかし取材を急ぎすぎると、良い記事が作成できないことも…そこで今回は、導入事例を取材するタイミングについて考えてみましょう。

「効果」は導入事例に欠かせない要素

導入事例は「導入の背景(お客様の課題)」「製品の選定」「導入の効果」「将来の展望」といった流れでまとめるのが一般的です。

そしてこの流れの中でポイントとなるのが「導入の効果」です。「コストを○○%削減できた」「売上が△割アップした」という実績は、販促ツールとして大きな説得力をもたらすからです。

であれば、取材は効果について具体的な話を聞けるまでは待った方がいいかもしれません。タイミングを急ぎすぎると「導入したばかりで効果は不明、まだ評価できない」ということになりかねないからです。

待っていては機を逸することも

とはいえ、製品の種類によっては効果が出るまで年単位でかかる場合もあります。例えばサーバやネットワークといった基盤(インフラ)系のソリューションでは、その上に載るアプリケーションが開発・運用されるまでは、その効果は未知数です。ユーザ部門向けのソリューションなら早期の効果も期待できますが、それでも検証してまとめるにはある程度の時間が必要でしょう。

一方で、他社に先駆けて開発した製品については、導入事例をいち早く営業現場に投入し、先行のアドバンテージを生かしたいはずです。逆に他社が先行しているソリューションをキャッチアップする場合も、別の意味で早期に事例化したいところ。また、「導入事例を作成するタイミングはいつ?」でも紹介したように、どうしてもこの展示会やセミナーに合わせて導入事例を用意したい…というケースもあるでしょう。

いずれにせよ、ただ効果が出るのを待っていては、せっかくのビジネスチャンスを逸してしまう可能性があるのも確かです。

実際の効果がわからなくても記事は作れる!

では、お客様に「効果」を聞けそうもないときは、具体的にどうすればよいのでしょうか?

ひとつの方法として、「導入効果」の代わりに「期待効果」を取材するやり方が考えられます。「売上が△割アップした」という答えは無理でも、「△割の売上アップを期待している」というコメントならいただけるはずです。あるいは、お客様が中期経営計画で「営業利益2倍」を目標に掲げているのであれば、「目標の達成には、今回のソリューションが欠かせない」という話を引き出すことで、「利益倍増に貢献」と書けるかもしれません。

別のやり方としては、導入事例を2回に分けて制作する方法もあります。例えば、導入プロジェクトにおける初期のフェーズ、つまりコンサルティングやPoC(Proof of Concept)に着目。記事では、顧客のビジネスをいかに理解し、役に立つ提案を行ったのかを訴求します。「今回のソリューションの導入をきっかけに、自社のビジネス・プロセスを見直すことができた」といった具合です。

この「導入編」に続き、ソリューションの運用が本格化し、具体的な効果が出てきた時点で、それを盛り込んだ導入事例を作成します。こちらは「活用編」です。

このように「導入編」「活用編」2つの導入事例を作成することで、LCC(Life Cycle Cost)の観点からアピールできるだけでなく、それぞれをIT部門向け・LOB向けとして使い分けることも可能です。

取材のタイミングをいつにするかは、なかなか悩ましい問題ですが、ビジネスチャンスと記事の完成度のバランスを見極め、その製品にとって最適な時期に作成しましょう。