IT事例に役立つコラム(仮)

2014.04.23

導入事例ならではの持ち味を生かそう

導入事例は、会社案内や製品カタログなどの数ある販促ツールのひとつです。とはいえ、他のツールにはない説得力を持たせることができるという点で、とても強力な販促ツールです。各ツールに役割を分担させることを前提に、導入事例ならではの内容を目指しましょう。

導入事例の存在意義

多くのITベンダーは、製品パンフレットや自社Webサイト上での製品紹介をはじめ、さまざまな販促ツールを展開していることでしょう。それらに加え、さらに導入事例を制作する意味はあるのでしょうか? その答えはYESです。なぜなら、他の販促ツールではなかなかアピールしにくく、導入事例だからこそ読者(潜在ユーザー)に刺さるポイントがあるからです。

一般に製品パンフレットでは、性能・機能などの数値データを挙げて製品の優位性を訴えることが多いのですが、非機能要件すなわち「信頼性や拡張性に優れているか」「使い勝手や操作感はいいか」「導入は容易か」などについては具体的な記載がありません。なぜなら、信頼性や操作性は利用者の主観に左右されるため、ベンダー側が言葉を尽くして説明しても、読者にはなかなかリアルに伝わらないからです。

一方、導入事例は、ユーザーの生の声すなわちユーザー側からの視点で、いかにその製品の信頼性が高く、使い勝手に優れているかをダイレクトに伝えることができます。

ツールごとの役割を考えて、情報を詰め込みすぎない

せっかく費用を掛けて導入事例を制作するのだから、なるべく多くの要素や情報を盛り込んで、より多くの読者にアピールしたいと考えるかもしれません。 しかし情報量が増え、販促ツールとしての汎用性が高まるほど、導入事例としての持ち味が薄れてしまう可能性があります。仮に製品パンフレットと導入事例に載っている情報が半分近く同じということであれば、わざわざ2種類の販促ツールを制作する意味はないかもしれません。

例えば、システム構成図は、製品パンフレットに必須ですし、導入事例にも掲載されるのが一般的です。しかし「読者にユーザーの生の声を伝える」という導入事例の役割を考えれば、簡略化した図で済ませてもかまわないかもしれませんし、思い切って割愛することもあり得るでしょう。 販促ツールごとのそれぞれの役割を明確化し、各ツールが最大の効果を発揮するように、余分な情報はそぎ落としましょう。

ユーザーの生の声を拾うことを心掛ける

繰り返しになりますが、導入事例で優先すべき情報は「ユーザーの生の声」です。 取材に際しては、それを念頭に「導入時にベンダー側からのサポートが充実していた」「操作性に優れ、使い勝手がいい」「業務の省力化や低コスト化を実現した」「自社のビジネスの拡大や売上増大に役立っている」といった声を引き出していきましょう。

中でも大切なのは、導入効果です。製品の導入が、どの程度のコスト削減につながり、どのくらいの売上拡大を支えるのかが明確に示されていれば、導入決定を促す資料となることでしょう。

同様に、製品の選択理由も重要です。今日、自社以外に提供できないソリューションというものはまずありません。多くの競合製品が存在するはずです。そうした中で、既存ユーザーが「なぜ、この製品を選んだのか」「他製品に比べて何が優れていると感じたのか」についてリアルに語ってもらえれば、読者への大きなアピール材料になるはずです。

いずれにせよ、販促ツール全体の中で、導入事例の果たすべき役割を明確にし、他ツールと相互に補完できるような内容となることを心掛けて制作することが大切です。