担当者同士で取材の内容やスケジュールの同意ができていても、握りがしっかりしていないと後から確認の段階で相手企業の経営層・広報・法務からNGが出てしまうことがあります。特にスケジュール面はよく確認しておきましょう。大きい会社ほど確認に時間がかかるものです。
関係各方面との調整を忘れない
導入事例の取材依頼は、自社の営業担当者が導入の窓口となった先方のシステム担当者にお願いするというパターンが多いでしょう。この二人は、ベンダー側と導入側という立場を越えて、導入プロジェクトを成功させたという体験を共有していますし、その成功を社内外にアピールしたいという気持ちも同じように持っているはずですから、取材準備はとんとん拍子で進むことが多いはずです。
しかし、そこに落とし穴があります。 事例作成に向けて前のめりになってしまい、関係各部門に対する手続きがおろそかになったり、未確認のまま話を進めてしまったりすることもないとはいえません。その結果、ある程度まで話が進んだ段階で、広報部門から時期尚早という意見が出るかもしれませんし、あるいはIT部門全体の方針から事例制作は見送るという話になるかもしれません。
各方面とのすり合わせを十分に行わずに事例制作を進めてしまうと、予想外のタイミングで制作にストップがかかるということもあり得るのです。担当者同士だけで話を進めてしまわないように注意したいものです。
制作は順調なのに進行で遅れが…
制作そのものは順調に進み、関係各部門からの大きな修正が入らなくても、結果的に事例の完成が大きく遅れてしまうことがあります。自社側に問題があって進捗が遅れ気味ということであれば対策の立てようもあるかもしれませんが、取材先に原因があるときはリカバリーは困難です。
例えばよくある話が、先方から原稿のチェックがなかなか戻ってこないというトラブルです。 一般に、制作した事例の原稿(ドラフト)が上がってくると、まず自社の担当者が内容を確認し、必要な修正を施した後で、取材先にチェックを依頼することになります。このとき先方の導入担当者のチェックだけであれば、さほど時間はかからないでしょう。しかし、担当者の上長、さらには広報部門や法務部門のチェックを受ける必要があるかもしれません。
あるいは取材先の部門横断的なプロジェクトでシステムが導入された場合は、他の関連部門へも確認を行うこともあり、ドラフトが戻ってくるのに時間がかかりがちです。また、担当者が海外出張などの長期出張に出かけたり、緊急性の高い業務が発生したりすることで、チェックバックが大幅に遅れることもあります。
チェック期間についてのスケジュールを事前によくすり合わせ、予定通りに作業が完了するように心がけましょう。
先方へ催促せざる状況に陥らないことが大切
また、導入事例の作成に必要となる素材は、チェック済みの原稿だけではありません。取材先の企業ロゴや事業所・製品の広報写真、システム構成図なども提供してもらわなければなりません。
事前に先方の担当者にお願いしておいても、広報写真を管理している広報部門や、システム図を所有しているシステム部門など、関係する部門への依頼のタイミングが送れると、ドラフトの確認がスケジュールどおりにいったとしても、いつまでたっても出稿できないということになりかねません。
余裕のあるスケジュールを立てるのはもちろん、先方の担当者と連絡を密にし、タイムスケジュールを共有することが大切です。 取材先はすなわちお客様であり、あれこれ催促するのはなかなかできないでしょうから、先方へ催促せざる状況に陥る前に、早め早めに進捗を確認するように心掛けましょう。