取材先で導入プロジェクトを主導された担当者といえども、導入の際の経緯をすべて知っているとは限りません。例えば、ほかの業務を兼任していたり、導入については補佐的な役割であったりして、プロジェクト全体を把握していないかもしません。記憶があいまいなこともあるでしょう。そんなときには、取材に同席している自社の営業担当者やSEが助けになるかもしれません。
インタビューシートの事前提出が大切
取材に際しては、事前にインタビューシートを作成し、余裕をもって提出しておきます。できれば1週間以上前に提出するといいでしょう。 その理由は、どんな話をしてもらいたいのかを伝えておくためですが、もうひとつ、どんな方の出席が必要なのかを理解してもらうためです。
一般的な導入事例であれば、「導入の背景」「ソリューションの概要」「導入の効果」「将来の展望」という構成になります。その際、先方の出席者に偏りがあると、この流れに沿って必要な情報が得られないことがあります。
極端な例となりますが、IT部門のエンジニアのみが出席した場合、「導入の背景」となった経営上の課題については言及できないかもしれません。その逆に、ユーザー部門の担当者のみが出席した場合は、技術的側面について詳しい話を聞けない可能性もあります。
事前にインタビューシートを提出しておけば、先方も質問項目に合わせて出席者を調整しやすくなるはずです。
「もしも」の場合も想定して
先方の業務担当者とシステム担当者の出席は必須 とはいえ、こちらの都合に合わせて、取材に必要な出席者全員をそろえてもらうのは難しいでしょう。
本来であれば「導入の背景」については、CIOやIT部門長に出席してもらえば、システム面だけでなく経営面の話も伺えますが、先方の企業規模が大きければ、経営層や部門長にスケジュール調整してもらうのは難しいでしょう。
少なくとも導入にかかわった業務担当者とシステム担当者はそれぞれ1名以上出席してもらうべきですが、導入時の担当者が他部門に異動していているかもしれませんし、場合によっては既に退職している場合もあり得ます。
また、導入当時の担当者だとしても、導入の経緯をすべて把握しているとは限りませんし、記憶があいまいではっきり答えられない場合もあるでしょう。
自社の営業担当者やSEにも協力を仰ごう
そんなときに頼りになるのが、取材に同席する自社の営業担当者やSEです。導入当時からその企業を担当しているのであれば、立場こそ違えど、導入の経緯については最も豊富な情報を持っているはずです。
自社の営業担当者の話がきっかけで、「そういえば…」と先方の出席者が当時のことを思い出すきっかけとなるかもしれません。また、先方のシステム担当者が出席できない場合なら、技術的な側面は自社のSEに話してもらうこともできるでしょう。
自社の営業担当者やSEに、取材中に話を振る可能性があることを事前に伝えておくだけでなく、積極的に取材に参加してもらうように促しましょう。
先方が取材に消極的なときの裏ワザとは
実は、導入先の担当者が忙しくて、取材の時間をとってもらうのが難しいということもあるはずです。そんなときには、自社の営業担当者やSEの助けを借りて、導入事例を制作することも不可能ではありません。
自社の営業担当者は、それこそ何度も訪問を繰り返して営業活動を行い、クロージングに至ったはずです。導入後のフォローアップのために足繁く導入先に通っていることもあるでしょう。そんな営業担当者であれば、自社製品の強み/弱みを把握しているのはもちろん、導入先のビジネスの動向や、自社製品を導入した背景、製品選定の経緯、導入スケジュール、導入効果についても理解しているはずです。 導入を支援したSEも同様です。
先方が「時間がとれない」といった理由で取材に難色を示したときには、自社の営業担当者やSEに聞いた話を基に導入事例を作成し、先方にチェックしてもらうという方法を検討してみてください。